五輪ボランティアが世界中から集まる理由|経速ナビ

2017年10月21日

五輪ボランティアが世界中から集まる理由

1: 名無しさん 2017年10月21日 11:15:00 ID:0.net

五輪ボランティアが世界中から集まる理由
2016年のリオ五輪には世界中から約5万人のボランティアが集まったという。渡航費や滞在費は原則自己負担。それでも人が集まるのは、どんな魅力があるのか。リオ五輪に通訳ボランティアとして参加した新条正恵さんに、イーオンの三宅義和社長が聞いた――(前編。全2回)。

■オリンピック・ボランティアの情報がなかった

【三宅義和・イーオン社長】今回は2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの大会ボランティアで活躍された新条正恵さんに来ていただきました。

新条さんはアメリカ、イギリスなどでの海外の生活も長く、ずっと外資系の金融機関に勤務されていました。現在は社会人向けの語学学習コミュニティ「マルチリンガルクラブ」の代表を務められています。オリンピックでの通訳はリオ五輪が初めてですか。

【新条正恵・マルチリンガルクラブ代表】そうです。大会ボランティアという立場で主として語学サービスに携わりました。

【三宅】チャレンジしてみようと思った動機は何だったのでしょうか。

【新条】大きくは2つあります。1つは、私どものクラブに「オリンピックに行って、何かボランティアがしたい」という方がいらっしゃいました。そこで、どれぐらいの英語力が必要なのか、あるいは、どういうスキルが求められるのか、といったことを調べてみたんです。

私はもともと、外資系銀行でアナリストの仕事をしていたので、情報収集は得意な方だったのですが、英語も含めた各種メディアやネットで検索しても、それに関した情報がまったく見つからなかった。それなら「もう行くしかない」と思って応募しました(笑)。実際に自分が体験してみることで、直接、お伝えできることが多いのではないかと考えました。

2つ目が、私は小学生のときから、ずっといろいろなボランティアをしていました。留学先のアメリカの大学でもそうです。また、外資系企業はCSR活動に力を入れていますので、就職してからもずっとボランティアの企画やプロジェクトに関わっていました。

オリンピックも、最初は何かできたらいいなといった感じでしたが、いろいろ話を聞いていくと、せっかく行くならオリンピックを運営する側でボランティアをしてみたいという気持ちになりました。

【三宅】当然、応募資格や選考はあるわけですよね。それはブラジルの五輪組織委員会が行うのですか。

【新条】大会ボランティアの選考は、すべてインターネットです。もう何年も前から使われているシステムのようで、「ボランティアポータル」というサイトから英語、またはポルトガル語でエントリーします。

その際、5ページぐらいのシートに、名前、国籍・居住地、今までのキャリア、得意なこと、ボランティア経験の有無、語学とスポーツでは何ができるのか、といったことを書いていきます。シートを送信すれば、仮受け付けは完了。その後は、国籍や就業経験、ボランティア経験といった属性でセレクトされるわけです。

■通訳ボランティアはどんな仕事をするのか

【三宅】新条さんの場合は日本人であり、英語が堪能だと。そこでどんな仕事をするかも決まるのですか。

【新条】通訳ボランティアというのは、基本的に日本人の場合は、日本人選手の通訳を担当します。スポーツについては、どの競技を担当するかは各チームのマネージャーが選ぶようです。

例えば、私が「バレーボールを10年やっていました」という経験があれば、それはエントリーシートに書いておけるので、スカイプを使って2回から3回行われる面接で「あなた、担当したい競技はある?」と尋ねられたりします。

【三宅】新条さんはどのスポーツを担当されたのですか。

【新条】フィールドホッケーと7人制ラグビーなど5競技でした。「さくらジャパン」や「ジャパンセブンズ」というチームなどです。大会ボランティアは、基本的には競技場に配属されます。そこでの、会場内誘導・案内、選手の通訳、選手団サポートなどに当たります。

そのなかでもメインの仕事は、競技が終わったあとに、出場選手には30分間のインタビュータイムがあります。そこでリクエストがあれば、メディアから取材を受けるのですが、やりとりはすべて英語なので、そのときに通訳をするわけです。

またドーピング検査にも帯同します。上位3人と、ランダムに選ばれた人が受けることになっていました。質問用紙への記入と口頭での応答も英語なので、選手から希望があれば付き添います。

ですから、大会ボランティアに求められるのは、オリンピックで行われる競技に関する基本的な知識と、ボランティアの経験、そして英語やその他の言語のスキルだと思います。

【三宅】新条さんは、日本のアスリートたちの英語力をどう感じましたか。

【新条】私がサポートさせていただいたのは、比較的マイナーな競技でしたので、選手の皆さんからは、基本的に「通訳をお願いします」と言われました。その意味では、ゴルフやテニスのプロ選手が英語で話しているのとは違うかもしれません。

【三宅】これからは日本のアスリートが、海外で活躍するためにも英語は大事ですよね。

【新条】リオ五輪とは別の話ですが、ある選手が「海外に遠征した際、自分でインタビューを受けたい」と希望されて、私の知り合いの英会話教師がリオ大会の前に、個人レッスンを数カ月担当されたという方もいるそうです。若いアスリートには、自分の言葉で伝えたいという考えが強いのではないかと思います。

■渡航費、滞在費が自腹でも参加する理由は

【三宅】ボランティアの人たちの国籍や年齢はどうなっていましたか。

【新条】リオ大会の場合は18%が外国人だったと聞いています。もちろん、仕事の種類にもよりますが、私が所属していた通訳チームは、11人のうちのブラジルに住んでいる人は3人で、それ以外は全員が外国人。年齢層も幅広く、21歳から60代の人までいました。他の職種についていたボランティアの方と話す機会もありましたが、参加されている中で多かったのは、30〜40代の主婦。または20代から30代前半の若い人たちです。

そういう方とのコミュニケーションが円滑にできることが、いいボランティア活動につながると思います。私は、主婦の人たちとはすぐに打ち解けられました。とはいえ、いろいろな国籍の人がいるので、伝えたいことをきちんと伝えることが大事になります。

【三宅】渡航費や食費、滞在費はどうなっているのですか。

【新条】原則として自己負担です。仕事中の食事に関しては、1日1回提供されます。それと会場へ通うために公共交通機関を使えるプリペイドカードが支給されました。宿泊施設も自分で準備します。ただ、スポーツボランティアの世界ではホームステイを選ぶ人が多く、ホストファミリーの情報も、先ほどの「ボランティアポータル」にアップされています。

【三宅】経済的な負担も大きいようですが、五輪ボランティアの魅力は何ですか。

【新条】大きく3つあります。まず、リオの場合は、アスリートが1万人、ボランティアが5万人、メディアが3万人。それから有償スタッフが、おそらく1万人、それとは別にコントラクターと呼ばれる人が数万人。あわせて10万人以上の人が世界中から集まって、たった2週間のために働くわけです。つまり、グローバル企業のような環境で力を発揮することができます。これはすばらしい経験です。

次に、そこで知り合えた仲間と一緒にプロフェッショナルとして働くというメリットもあります。友だちになることができると、この秋も「1周年だから、スカイプで集まろうよ」ということになりました。私の場合だと、世界中、どこにいても友だちがいるので、泊まり歩けます(笑)。

最後は、最高レベルのスポーツに直に触れることができることです。世界から選ばれたトップアスリートたちの競技を目の前で観戦できることは楽しいし、視野も広がります。

(イーオン代表取締役社長三宅義和構成=岡村繁雄撮影=澁谷高晴)

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