「白鹿」「菊正宗」名家の知られざる系譜と課題|経速ナビ

2017年10月23日

「白鹿」「菊正宗」名家の知られざる系譜と課題

1: 名無しさん 2017年10月23日 06:00:00 ID:0.net

「白鹿」「菊正宗」名家の知られざる系譜と課題

地域経済を引っ張るだけでなく政治や教育、文化にも大きく貢献している

白鶴、大関、日本盛、菊正宗、沢の鶴、剣菱、白鹿――。

これら日本酒の酒蔵が集まるのが「灘五郷」と呼ばれる、兵庫県西宮市から同神戸市東部にまたがる湾岸沿いの地域だ。西宮の一角から湧き出る良質な水、六甲山系の急流を利用した水車による精米、六甲おろしの寒気、海路を使った輸送など、恵まれた立地条件を味方に、日本有数の酒どころとして江戸時代に発展。今でも20超の日本酒メーカーが点在し、全国に出回る日本酒の25%がこの地で造られている。

『週刊東洋経済』は10月23日発売号(10月28日号)で「日本を動かす地方の名門企業77」を特集。全国的には無名でも、地元で圧倒的な存在感を誇り、日本を根っこで支えている名門企業の実態に迫っている。

「辰馬家」と「嘉納家」は名門校の創設も


「白鹿」「菊正宗」名家の知られざる系譜と課題

灘五郷において圧倒的な存在感を誇るのが、西宮市が拠点の辰馬家と神戸市が拠点の嘉納家だ。本家の創業はどちらも1600年代。有名なのは、日本酒「白鹿」と「菊正宗」の酒造オーナーとしてだけではない。中高一貫の男子校として名高い、甲陽学院中学・高校は辰馬家が、灘中学・高校は嘉納家が創設した学校で、教育事業にも熱心な名家として並び称されてきた。

分家も著名だ。白嘉納と呼ばれる嘉納家の分家が経営するのが白鶴酒造。「まる」などのブランドを展開し、売上高は348億円と本家の110億円を上回るだけでなく国内でもトップ。辰馬家の分家(北辰馬家)が経営する白鷹は、伊勢神宮に御料酒を献上する唯一の酒蔵として名高い。

「曾祖父の時代には西宮市庁舎と市立図書館を建設するために私財を寄付した」。

そう語るのは日本酒メーカー、辰馬本家酒造の辰馬健仁社長だ。ちなみに金額は30万円。当時の市税収入1年分に相当する。1662年の創業後、1900年代初めには海運や保険などにも進出し、財閥を形成した。現在は酒造業に回帰しているが、13面のコートを備えるテニスクラブを所有するなど、そのころの栄耀栄華の面影が今でも垣間見える。

5代目と7代目の西宮市長が辰馬家出身だったこともあり、市政との関わりが深い。市庁舎や図書館建設のような寄付に加え、市民が集える宴会場や迎賓館の役割を担う施設としてホテルを運営していたこともある(2014年に売却)。直近では待機児童を減らすために保育園を設立している。


「白鹿」「菊正宗」名家の知られざる系譜と課題

全国的に有名な日本酒の酒蔵はさまざまな分野で地域にも貢献している(記者撮影)

ただ、日本酒の国内消費量は1970年代のピーク時から3分の1に減った。吟醸酒、純米酒など原料米製造方法などの諸条件によって分類される特定名称別で見ると、純米吟醸酒は伸びているものの、一般酒の比率が高い灘五郷の酒蔵は、新潟県や宮城県など北陸・東北の酒蔵に押され気味だ。

こうした市場環境を打破するため、灘五郷を代表する酒蔵の経営者は若返りを図っている。辰馬社長を始め、今年6月に33年ぶりの社長交代となった沢の鶴、23年ぶりの交代となった剣菱酒造、32年ぶりの交代となった菊正宗酒造など40代が中心を担う。

「飲み手の代替わり」も必要に

「日本酒の飲み手の代替わりも図っていく」。辰馬社長は言う。辰馬本家酒造では、既存の日本酒マーケットの中でシェアの奪い合いをするのではなく、ビール、ワインなど日本酒以外のお酒を飲む人、お酒を飲まない若者を取り込んでいく。


「白鹿」「菊正宗」名家の知られざる系譜と課題

3年前には、日本酒の楽しみ方を提案する場、体験できる場として京都にショップ「おず」をオープンした。ここでは、日本酒に和菓子と日本茶といった新しい組み合わせを提案。今年8月には、東京都内で、日本酒カクテルを販売するイベントを行い、カクテルベースとしての日本酒の新しい活用方法も提案している。

西宮市本社近くにある、直営店舗「白鹿クラシックス」には、自社の商品だけでなく、灘の蔵元の酒がずらりと並ぶ。実は、灘五郷の酒蔵経営者の多くが、甲南大学出身者。「先輩後輩としてつながっていて親戚も多い。競合相手といえども結び付きは強い」(辰馬社長)。灘五郷の各社は、そうした先輩や後輩の結びつきなども活用しながら、需要獲得に向けた取り組みを進めている。

『週刊東洋経済』10月23日発売号(10月30日号)の特集は「日本を動かす地方の名門企業77」です。
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